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若手の活躍で今季最後の試合を勝利で飾り、ファンにあいさつする高橋監督(右)ら

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 7月のある日。前半戦終了が近づく中、東京ドームで打撃練習を見ていた高橋監督がつぶやいた。「中井や立岡がレギュラーを取れれば良かったが……」

 開幕戦で1、2番を任せた2人は打撃不振で、すでにスタメン落ちしていた。7番に抜てきした高卒3年目の岡本は打率2割2分台で4月下旬に二軍へ。13連敗など前半戦は苦戦続き。若手の台頭を待つ余裕はなくなっていた。

 高橋監督はオープン戦で20代の野手を使い続けた。岡本と、日本ハムから移籍した石川は全19試合、辻は18、重信は16、立岡は14。安打が出ないからといって、簡単に打席機会を奪うことはしなかった。「こういうのを乗り越えないと」。試合に出ながら不調を克服していくレギュラーの覚悟を学ばせる意図があった。

 そんな種まきも実らず、38勝44敗の負け越し6で後半戦を迎えることになり、目前の勝敗が先決となった。打力のあるマギーに不慣れな二塁手を任せ、2番で使い続けた。代打の切り札だった亀井を先発の左翼に使う試合も増えた。

 この攻撃的布陣は奏功し、勝率5割を超えて3位争いをする原動力となった。一方でベテランへの依存度が増し、打線は高齢化した。先発野手の平均年齢は、開幕戦の29歳から、9月1日には32・6歳に上がった。

 興味深いデータがある。打者が打ってから一塁に到達するタイム。球団関係者によると、左打者で3・8秒台、右で4・2秒台までなら走力がある目安となる。広島の野手では田中、菊池、丸、鈴木、安部、西川がおおむねこのタイムをクリアできるというが、今の巨人の主力には一人もいない。今季129併殺打というリーグワーストを記録し、盗塁数も4位の56どまり。機動力の乏しさは明らかだ。

 ベテラン頼みは終盤の息切れにもつながった。勝負所の9月は半分超の12試合で2得点以下。主力の一人は「若手がいつまでも1・5軍のままでは強くならない」と危機感を募らせ、高橋監督も「チームは若返ることが大事」と変革の必要性を痛感している。

 10月3日の最終戦は3年目以内の野手4人が先発した。ドラフト1位の吉川尚はプロ初安打を含む3安打、宇佐見は豪快な本塁打を放った。岡本、重信も安打し、途中出場の山本はプロ初本塁打を満塁弾で飾った。世代交代は、原辰徳前監督時代から続く重い課題だ。得点力ある打線の新生へ、若者をさらに鍛えたい。(この連載は小金沢智、西村海、佐野司、中安真人、工藤圭太が担当しました)